品川―名古屋間を40分で結ぶJR東海のリニア中央新幹線が今月17日、着工5年を迎えた。全長約286キロのうち7割の工事契約が済み、2027年開業に向け、これからトンネル区間の工事が本格化する。だが静岡工区の「水」や、工事で大量に出る「土」をめぐる問題などが山積し、開業の遅れが現実味を帯びている。
リニア中央新幹線は全長の9割近い246・4キロをトンネルが占め、「開業まで余裕のない非常にタイトな工事」(金子慎・JR東海社長)だ。
これまでに工事契約を結んだ計200キロほどの区間のうち、工事が終わっているのは1997年に運用を始めた山梨実験線(42・8キロ)のみ。なかでも南アルプスを貫くトンネル工事は地表からの深さが最大1400メートルに達し、営業中の新幹線直下で進める品川、名古屋両駅建設とともに、最難関工事とされる。最大1300メートルだった上越新幹線のトンネル工事では、岩盤がはじけ飛ぶ「岩ハネ」現象や出水事故が相次ぎ、開業が遅れた。
JR東海は、これらの工事に最優先で着手。南アルプストンネルは工期を約10年と見込み、3分割した工区のうち山梨工区は2015年12月、長野工区は16年11月に着工した。ところが静岡工区は17年11月に施工業者と契約したものの、2年以上にわたり本格着工できない状態が続く。
静岡県が、トンネル工事で地下水が流出して大井川水系の流量が減ると懸念しているためだ。川勝平太知事は「一滴たりとも譲らない」と述べ、有識者らによる専門部会で協議が続き、着工の見通しは立っていない。
こうした中、国土交通省が仲裁…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル